ホークスがドリブルを優先的に練習する理由
ホークスではドリブルの練習に多く時間を割り当てます。
このページではその理由やホークスのドリブルに対する考え方を説明します。
ホークスにおけるドリブルの定義
ホークスではドリブルを「ボールを保持しながら素早くゴールに近づく手段」「ディフェンスのプレッシャーを回避しボールを保持する手段」「ディフェンスとのギャップを作りシュートもしくはパスをするための手段」と定義しています。
ドリブルの練習時間が多い理由
バスケットボールでは無闇にドリブルを使うというのは、決して良い選択ではありません。
ホークスでもチームオフェンスとしてはパスファーストを前提としています。
ただ、オフェンス、ディフェンス含め3〜4人が動く中で状況判断が必要なパスというスキルは、力の弱い小学生や初心者にとって意外と難しいものです。
ホークスでは以下の理由でドリブルを優先しています。
- 初心者が多いためドリブルの練習で少しでも早くボールに慣れてほしい。
- 小学生が興味を持ちやすく一人でも練習がしやすい。
- ドリブルはプレッシャーを回避するスキルでもある。ボールを失わないことが、慌てたプレー(ミス)の減少につながる。
- 期待値の高いシュートのきっかけとなるドライブを重視している。(レイアップ、フリースロー、ゴール付近の合わせ)
- 小学生は強く早いパスを出せるプレーヤーが限られるので、ファーストブレイクを除きフロントコートにボールを移動する手段はドリブルを優位に考えている。
期待値とシュートセレクション
NBAの試合を見ると分かりますが、ドライブ、3ポイントが非常に多いです。
これは期待値の高いシュートを打とうとしている事が理由にあります。
期待値とは「スコア x シュートの確率」から計算ができ、1より大きいシュートが良いとされます。
上記は、高校生よりも上の世代で一定のレベルを超えたプレーヤーのシュート期待値です。
- ゴール下ノーマークのシュート:90%x2点 = 1.8
- ゴール下ディフェンスありのシュート: 60%x2 = 1.2
- フリースロー :70~80%x2=1.4~1.6(試投数を2とした場合)
- ペリーメーター内からのジャンパー:40%x2 = 0.8
- 3ポイント:35% = 1.05
期待値の高いシュートセレクション
シュートセレクションは「どのようなシュートをチームとして、個人として選択するか」という事です。
期待値1以上のシュートを想定すると、以下のようなシーンが導き出されます。
- ファーストブレーク
- 1on1からのドライブイン
- ドライブを警戒しディフェンスが下がった場合のアウトサイド
- ギブ&ゴー、バックドアなどのカットイン
- カットインに対するゴール下の合わせ
- ダウンスクリーンからのドライブイン、もしくはスクリーナーへのパス
- カットインからアウトサイドへのキックアウト
- フリースローはゴール近辺のプレーで発生しやすい
- ポストアップ
ファーストブレークはリバウンダーがそのままボールプッシュをして前に進めますし、ほとんどがドリブルからゴール下へ積極的に進入するプレーから組み立てられています。
動きの多様性を求めるためポストアップ(ゴールに背中を向けた状態でのプレイ)の練習をすることはありますが、小学生はボールが止まるとボールウォッチャーになる事が多いのでホークスではあまり使いません。(ドライブ後、ゴール下でターンからシュートする目的での練習は行います)
ホークスではドライブを重視
以上の理由からホークスではまず個人でドライブ(ハーフコートオフェンスでスピードに乗りドリブルカットイン)ができる選手を育てるようにしています。
ドライブに必要なスキル
単純にドライブと言ってもたくさんのスキルが必要です。
ドリブルを開始後のスキルに限定しても以下のように覚えることは多いです。
※ドライブ後のレイアップは除く
- 左右のドリブル
- ドリブルジャブ(オープン、クロスステップ)
- アタックステップ(ドロップ、スターター、デロンなど)
- ドリブルチェンジ (フロント、レッグ、ビハインド、ロールなど)
- ストップ(ドラッグストップ、インバーテッドドラッグなど)
- スイムムーブ
- ほか
アウトサイドシュートについて
ホークスではアウトサイドシュートも以下の理由で比較的多く練習に時間を割いています。
- ゴールに近い距離のシュートは期待値の高いフリースローが獲得しやすい。
- ドライブのカウンタームーブと考えている。
ドライブからのキックアウトによるアウトサイドシュートも狙うようにしています。
ミニなので3ポイントはありませんし、小学生なので距離も出ません。
ただ、その子なりの3ポイントと考えており、本人に無理のない距離であれば積極的に狙うように伝えています。
一方、シュートフォームが崩れるような距離からは打たせないようにしています。
どちらかいうと将来のためという理由です。
より詳細なアウトサイドシュートのチームの考えは今後更新予定です。
ドリブルとは自分から自分へのパス?
バスケットボールは1891年にJames Naismith氏により考案されたスポーツですが、当初ドリブルは存在せず、パスとシュートしか無かったようです。
個別スキルとしてはピボットが生まれた後の1898〜1899年ごろ、あるプレーヤーが「自分の横にボールを投げ自分でキャッチして移動し始めた」ことが、ドリブルというプレーの誕生につながったと言われています。
最近であればゼロステップのインパクトが大きいですが、それ以上の変化でしょうか。
バスケットボールの歴史と世界事情
バスケットボール指導教本「改訂版」上巻