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『スラムダンク』宮城リョータはもう生まれない!? 

2021/07/29 22:36
  

令和3年7月29日(木)

『スラムダンク』宮城リョータはもう生まれない!? 

“平均身長2m超え”バスケ日本代表に見る「大型化施策」の未来

優秀な子を集める時代ではなく、“素質”のある子たちを鍛える時代へ――。 

バスケットボールの日本代表が45年ぶりにオリンピックの舞台に戻ってきた試合は、スポーツ界の育成方針が変わっていくことを暗示しているのかもしれない。

日本代表のスタメンの平均身長は201cmに

 この試合で注目すべきは、日本代表のスタメンの平均身長が

2mを超え、201cmになったことだ。2年前のW杯でも1試合だけ

平均身長が2mを超えた試合があったが、今大会はケガなどが

無い限り、基本的に全ての試合の先発がこのメンバーになり

そうだ。

アルゼンチンの「身長発掘プログラム」

アルゼンチンでは12歳や13歳などの年齢で、ある一定の身長

に達していれば、上手いかどうか、運動能力がどうかも問わな

い方針でした。各年齢の一定以上の身長の選手を定期的に

集め、年間のプログラムのなかで強化していたのです。

そうした状況を知ると、日本は『強豪校にいる選手』や

『運動能力の高い選手』を集めて育成をしてきたために、

『高身長の選手』たちが置き去りにされてきたのだと

気づいたのです。

アルゼンチンの「身長発掘プログラム」と呼ばれる育成プログラムだ。具体的には12歳で185cm、13歳で188cm、14歳で193cm、15歳で198cm、16歳で201cmを超えている選手たちは、その時点での運動能力などはほとんど問われずに鍛え上げるというものだった。

確かに、身体の大きさでふるいにかけることについては、道義的な観点から異を唱える声はあるかもしれない。ただ、トレーニングや指導によって伸ばすのが最も困難な要素が身長である。その意味で、この方針は理にかなっているとも言える。とりわけ、バスケットボールのように激しいコンタクトがあり、3m5cmの高さに備え付けられたリングにボールを通す競技では尚更だ。

小さい選手が生きる道が完全に閉ざされるわけではない

 もちろん、その基準に満たない子たちに門戸を閉ざすというわけではない。  ただ、身長が一定に達しない選手の場合には、それを補ってあまりあるような能力が求められる。今回の日本代表でいえば日本人Bリーグ選手として史上はじめて年俸1億円に達した富樫がそうだ。  彼の身長はわずか167cmにすぎない。試合出場はないが、日本人として2人目のNBAチームに登録された選手でもある。今回のスペイン戦でも富樫は守備の戦術上の理由からスタメンを外れたものの、40分中15分41秒の出場で、8得点だった。  その価値は2人のNBAプレーヤーと比較すればよくわかる。エースの八村は36分48秒の出場で20得点、キャプテンの渡邊は35分41秒の出場で19得点だった。富樫が彼らと同程度の35分近く出場していたら、17.8得点を記録した計算になる。  こうした状況を見ても、前述の『スラムダンク』で描かれた168cmのPG宮城リョータのように、小さい選手が生きる道が完全に閉ざされるわけではない。だが、基本的には「大きい選手を鍛えて伸ばす」というのが今後の日本のスタンダードになりそうだ。  むしろ、あのマンガが描かれた1990年代前半を考えるならば、189㎝と当時の高校生としては高身長である“バスケ素人”の主人公・桜木花道が周囲の期待を受け、鍛え上げられるというストーリーは2021年以降にやってくる時代を予見していたと言えるのかもしれない。  事実、今月初頭にはラトビアで19歳以下のW杯が行なわれた。そこに参加したU-19日本代表の平均身長は195.2cm。東京五輪に参加しているフル代表全体の平均身長と比べても遜色ないレベルだった。  45年ぶりに男子バスケットボール日本代表がオリンピックの舞台に立った初戦は、短期的には「日本が世界王者に善戦した試合」と記憶されるだろう。ただ、将来、この試合を振り返ってみたとき――日本のスポーツ界における強化方針が変わっていくことを提示した試合として認識されるのかもしれない。  7月29日、2戦目に対戦するスロベニアは、現在のNBAで最高の選手の1人に数えられるルカ・ドンチッチ率いるダークホース的な存在だ。ドンチッチは初戦でオリンピック史上歴代2位の48得点をたたき出すなど、最高の状態にある。新たな時代に足を踏み入れつつある日本は、そんな難敵相手にどんな戦いを見せるだろうか。

男子バスケットボールの予選リーグで日本は五輪初出場のスロベニアと対戦。八村塁(23=ウィザーズ)が34得点、渡辺雄太(26=ラプターズ)が17得点を挙げたものの、81―116(前半41―53)で敗れ、11点差で屈したスペイン戦に続いて白星を挙げることはできなかった。

 日本は第1Qの序盤で6点のビハインドとなりながら15―15、18―18と2度同点。第2Qに入って12点差をつけられながら一時6点差にまで迫った。しかしこのあとリバウンド争いで競り負けて点差が開いていった。

 第3Qに入って日本は八村の3点シュートを含む連続2本のフィールドゴール(FG)で食い下がったが、5分すぎに20点差のビハインド。このクオーターの4分30秒にはスロベニアの大黒柱、ルカ・ドンチッチ(22)が3つ目の反則を犯してベンチに下がっていたがそのチャンスを生かすことはできなかった。

 なお日本は8月1日に予選リーグ最終戦となるアルゼンチン戦に臨むことになっている。

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