全国高校総体(インターハイ)史上初の中止に
全国高等学校体育連盟(全国高体連)はウェブによる臨時理事会で、今夏に東北から九州の21府県で分散開催される予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止を決定。競技のほか移動や宿泊による新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、生徒らの安全を最優先に判断した。1963年から始まった同大会の中止は史上初めてだ。
夏季のインターハイは部活動の集大成の場として陸上、水泳、体操など30競技の高校日本一を決める大会。今回の判断は今夏の全国高校野球選手権大会(甲子園)の開催にも影響を与えそうだ。先日、スポーツ庁の鈴木大地長官(53)は「これまでやってきたことを発揮する場がなくなるという非常に悲しい部分もある」と話したが、特に高校3年生は最後の舞台が奪われることになる。
関東地区の高校関係者は「3年生の気持ちを考えると胸が痛い」と肩を落とし「大学にスポーツ推薦で行く生徒にとってインターハイは大きなウエートを占める。特に3年生で成長した選手はここが勝負だった」とシビアな現実を語る。
進路に影響を与えるばかりか、未来の五輪アスリートの人生を左右しかねない。今後は大学側との協議になるが、前代未聞の事態だけに混乱は必至だろう。
2020年の全国高校総体の中止が4月26日に正式に決まりました。全国高校総体が中止となるのは史上初です。
2020年の全国高校総体は8月10日から24日の15日間北関東を中心に、全国で分散開催される予定でしたが、全国高等学校体育連盟は26日、臨時理事会を開き中止を決めました。全国高校総体が中止となるのは初めてのことです。理事会では、新型コロナウイルスの緊急事態措置が全国に拡大された状況を踏まえて協議を行い中止の決定に至ったとしています。これを受けて、県高校総体については、各方面と協議をし、4月30日に方向性を示したいとしています。
男子バスケットボールの昨年優勝校、福岡第一の井手口孝コーチは「ある程度は予想していたので、心の準備はしていました」と前置きしつつも、「寂しいですし、辛いし、無力感があります」と率直な感想を語る。
選手たちには昨夜にインターハイ中止の一報を入れるとともに「僕らにはウインターカップがあるけど、他の競技の仲間たちの中には本当にこれで終わりの選手もいる。その気持ちを僕らも分かっておこう」と伝えた。
今はバスケ部の活動も完全にストップ。「学校が始まらないことには何ともなりません。練習ができればいいけど、そうもいかない」と、留学生を除いては県外から受け入れている選手もそれぞれ実家に戻している。
「選手たちにはウインターカップがある、3連覇が懸かっていると言っていますが、本当にウインターカップが実施できるんだろうか、とは思います。そこだけは何とかやりたい。2月になっても3月になってもやりたいです」
井手口コーチは福岡第一の選手に限らず、全国のバスケ選手全員に次のようなメッセージを送っている。「出口のないトンネルはありませんし、乗り越えられない試練を神様は与えません。技術や体力は落ちるかもしれない。けど、バスケットボールに対する気持ちは消さないように、みんなで乗り越えましょう」と。