指導者とコーチの違い
今、JBAでのコーチライセンス制度が随分と板についてきたかと思いますが、これも現日本バスケットボール協会の川渕エグゼクティブアドバイザーがJリーグで取り入れた仕組みを日本のバスケ界発展のために落とし込んだ結果です。
“無許可”という表現は適当ではありませんが、ライセンスがないことで、指導をする上で、選手たちの成長の妨げになったり、取り返しのつかない事態をできるだけ避ける狙いがあるのは言うまでもありません。
私たちミニバスケット(U-12)の指導者は、根っからのアマチュアが大半ですから、余計に「バスケが好き」「子どもが好き」だけでは教えられないという狭間で、今、葛藤しています。
ここで、私が気にしているのは…
私は「指導者」なのか、「コーチ」なのかということです。
実は、「指導者=コーチ」ではなく、「指導者≒コーチ」なんです。
少しわかりにくいかもしれませんが、指導者は言葉の通り「導く」存在ですから、「関わる者の人生を導いたり、“人間的成長”を促したりする者である」…ということ。
で、コーチとは、「選手の目的を達成する者」…ということです。
そうなると、まずは今、教えている子ども達が「選手」かどうかという話。
特に、ミニバスは「初心者」から始まるということで、バスケの「バの字」も知らない子ども達が集まってきます。ですので、その時点では「選手」ではないし、選手としての「目的」なんてものも持っていません。
はじまりの理由は、色々とありますが…私なんかは「友達がやってて、誘ってきた」ただそれだけです。
観て「面白そう」これもありますし、「お兄ちゃんやお姉ちゃんがやってたから」とか「親に言われて仕方なく…」とか(笑)
はじめるキッカケは、そんな感じですから、まず「スポーツ選手になる為の準備」から始まるので…やっぱりミニバスは「指導者>コーチ」なんでしょうね。
「ここのチームの指導者はよくバスケを知っているので、習うと上手くなるよ!」…これはもう指導者に求めることの次、「選手」として、上手くなりたいという“目的”を持っていますから、この慕われる方は「コーチ」ということ。
日本ではまだ専属コーチの文化が進んでいないので、お金を払ってコーチングを仰ぐというのは、少し遅れています。
例えるなら、「学校」で習う勉強や共同生活の中で、更に自分の興味があるカテゴリーに、お金を払って習う「塾」。ミニバスが「学校」なら、クラブチームなどは「塾」にあたるかと…。
ここは、この十年ほどの間に随分と進化したと思います。
だって、昔は「塾」にいく子は、お金持ち…。勉強なんて、家でできるし、そろばんやっとけ!…って、うちのオカンに脳に刷り込まれるくらい言われました(笑)
でも今では、小学生でも塾に通う時代。行くのが当たり前くらいの勢いですから…誰かうちのオカンに言ってください!「みてみ~、塾に行かさんかったから、ブログで変なことばっかり書いてはるで~!」って(笑)
恐らくこの先、「俺、ガードプレイヤーなんで、ドリブルがもっと上手くなりたい!」と思えば、“ドリブルトレーナー”なんてジャンルがビジネスとして現れるかも。「フリースローがもっと入るようになりたい!」なんて言えば、“フリースロートレーナー”なんてね(笑)
コーチ登録で、E級、D級、C級…とこの先、コーチとして上を目指すのであれば、道は開けましたが…指導者として上を目指すにはまだ、少し仕組みが弱いかと。
やはり、一番、人間形成に影響があるであろう幼少期に関わっている私たちですから、バスケの指導技術を高めることと並行して、「指導者としての心得え」たるものを学び続けないといけませんね。
スポーツは、大人(社会人)になる為の人間形成の重要なファクターであることは間違いないので、スポーツの中でどう人間形成まで導くレールを引くか…。まだまだミニバス界では素人の集団です。
…勿論、私も。
今、日本バスケの流れは、どちらかと言えば、「コーチング」が指導よりもウエイトを高く置いている仕組みになっていますから、技術論が先に走ってしまい、そこに取り残される子ども達も生まれます。
子どもの口から、「俺、バスケ下手やし…もうやめる」なんて、言葉を誰も望んでいません。
言い方が悪いですが…「バスケは下手」でも、人として「駄目」ではないことを伝えてあげる…そして、それぞれの存在が何なのか、お互いの存在は…。“存在”や“関わり”の大切さを教えてあげることは、特にミニバスの時期にこそ、必要とされることと考えます。
バスケの面白さと…ミニバスの面白さは、実は“似て非なるもの”なのです。
“面白い”の要素は、決して、バスケット技術だけにないことを伝えていきたい…。
…俺、やっぱり、指導者寄りか???(笑)