期待値
小学生に1本のシュートの重み、1点の重みを教えることは容易なことではありません。
チームで苦労して得た1点、2点を、安易なミスで簡単に相手に奪われる…。そんなことは試合の中で当たり前のように流していれば、いつまでたっても「勝利」に手が届かない。
ミスをしたくて“する選手”はまずいないでしょう。
ただ、その安易な判断や、無責任なプレーから、相手選手に得点を奪われる…私は「ただ(無料)で相手の点をやる」と言ってます。笑笑
特に競った試合での安易な失点は、ゲームの流れを台無しにし、チームの士気にも影響します。
さてさて、叱らずにどうやってその重要性を子ども達に教えるのか…これまた難題です。
今、子ども達に教えている「期待値」という考え方。
これは「ドリブルドライブモーション(DDM)」を生み出したアメリカの高校教師、バンツ・ウォールバーグ氏の考え方です。
統計からエリアごとのシュート確率(パーセンテージ)の参考値があり、得られる点(得点)との関係を数値化します。
ゴール下(ペイントエリア)のシュートパーセンテージを60%と想定すると…2P×0.6=1.2となります。
ペイントエリア外で3Pラインの内側(ロングツー)と言われるエリアからのポイントは、40%と想定され、2P×0.4=0.8となります。
中学(U15)以降のカテゴリーでは「3P」が導入されるので、本来なら、3Pの確率を30%と想定して、3P×0.3=0.9、但し、ミニバス(U12)では3Pはないので、2P×0.3=0.6となってしまいます。
あとは、フリースロー(FT)で、ツーショットと考え、70%と想定すると、2P×0.7=1.4となり、期待値としては一番高いと考えられます。
ミニバスにおいては、期待値の高い順が…
FT(1.4)>ゴール下(1.2)>ロングツー(0.8)>3Pエリア(0.6) となります。
あくまで、シュートの「エリア」と、その確率(パーセンテージ)を数値化することで得た「期待値」なので、それが全てではないにせよ、考え方の一つとして子ども達に教えることは必要なことかもしれません。
だって、小学生や中学生くらいの子らは、やはり、ロングシュートに憧れますから、その確率の低いエリアでのショットに対する期待値が低いことを知らずに、「かっこいい」とか「凄い」とかで、ゲームの中で、バンバン打たれたあかつきには、チームの勝利への道が遠のく…ってこともあるのですから。
ミニバスには3Pがないので、なおさら、期待値の高い「ゴール下」での攻防や、バスケットカウントでの「3点プレー」を最高のプレーとして指導される方が多いのも事実。
YouTubeやInstagramなどの動画を見ていると、小さな子らが無理をしてロングシュートを打っているシーンを観て、指導者ながらに「それはそれ」と割り切れるか…難しいところです。
※ちなみに私の持論は…小学生はいかに「手首」を育てるか…だと思っています。ロングシュートを教えることも大切ですが、「ボールを真っすぐ投げる」「狙ったところにスローできる」など、もっと指先、手首の精度を高めることを教える方が、後のバスケ人生に伸びしろが出ると考えています。
今、JBAが進める「1対1」での駆け引きや攻防。
ゴールへ向かい、シュートを狙う…そのための「期待値」を子ども達に考えさせた中で、どのプレーを選択するか…ここにチームの考え方の違いがあると思います。
ミニバスにも「3P」があれば、「ゾーン禁止」なんて規則を作らなくてもよかったのでしょうが、施設の関係上、全ての小学校の体育館で3Pラインを引けないのも事実なので、まず導入はないでしょうから、やはり期待値の高い「ペイントエリア」をどう攻略するか、そこにテーマがあるように思います。
強いドライブからの期待値の高いレイアップシュート、そこにディフェンダーとのコンタクトがあり、「バスケットカウント」となれば、期待値は「2P+(1P×0.7)=2.7と、値は跳ね上がります。
このようなプレーをゲームの中で当然のようにおこなってくるチーム…「強さを持ったチーム」であることは間違いありません。
いいチーム、強いチーム…色んなチームのゲームスタイルを観戦する中で、子ども達やそのチームがどういった攻撃を選択しているか…玄人目で観てみると…結構、面白いですよ♪
是非、子ども達にも、そういった観点で、ゲームを観戦させてあげてください。
きっと、彼ら、彼女らが選ぶプレーの選択肢に変化が現れると思いますので。