ラダートレーニング
先日、仲良くしている指導者仲間と会話をしていて、ふとこんな質問をされました。
「基礎練って、どんなことしてます?」って。
県内でも、上位に進出するチームを育ててきた指導者でも、やっぱり奥が深いのでしょうね、この「基礎」ってものは。
特にバスケという前に、運動?体の使い方?…から始まる小学生においては、この基礎ってものが備わっているか否かで、その後の“伸びしろ”が大きく変わってきます。
バスケに限らず、全てのスポーツに共通と言えるでしょう。
アスリートでさえ、自分の体を全て使いこなしている人はまずいないと言われているくらいですから、脳と同じで、人間の体も未知の領域が残っているのかもしれません。
チームの子ども達を見渡してください。
よ~く転ぶ子、いませんか?
五体満足である以上、それほどハンディーがあるはずのない体をもってしても、自分をコントロールできない…そこからが始まりです。
新しくバスケを始めた子の中には、いきなり凄いシュートを打ったり、凄いボディーバランスを披露したり、周りを驚かせる子もいます。「えっ!?バスケ、初めて?」って思うようなね。
それを見て、単純に「能力が高い」と評価するのは、実は「いかがなものか」…なんですよ。
小学生がゆえに、心技体で言えば、「心」の影響を大きく受けます。
よく言われる「やる気スイッチ」です。
一見、能力の高そうな子は、実はそのスイッチが入っているだけの場合もあるんです。
ただ、このスイッチが落ちちゃえば…普通の子に戻ります。。。
昔はこのスイッチを強引に「ON」させるために、“根性”という精神論でスイッチが潰れるまで叩いたんです。スイッチが馬鹿になっちゃって…更に強固に“ど根性”なんて叩き方も。笑笑
時代は変わり、私達は今、その“やる気スイッチ”を自発的にONしてくれる環境を作りつつ、心技体の「技」「体」をしっかりと指導する責任が強くなっています。
自分の体をどれくらい上手く、正しく、正確にコントロールできるかは、その子のパフォーマンスを最大限に引き出すためには避けて通れないことなんです。
…それが「基礎」だと、私は思います。
ボールハンドリングや、ドリブルワークなど…バスケで言う多くの基礎練習(メニュー)はありますが、ポイントは自分の体をいかに知るか…このためにやっている一種の確認作業なんです。
今、チームでラダートレーニングを入れているのは、「頭で考え→体を自分が思ったように動かす」、そういった単純なことですら、小学生には難しいことなのでね。
一見、凄い能力だと思ってみていた子、こういった神経系のトレーニングや、頭で考える要素を足すと、一気に別人になることがありますので…「あれ?」ってね。笑笑
結局、どれだけ色んな“道”を歩いたか、歩いた分だけ、道を覚える…のが小学生。
なので、一言で「経験」と言いますが、そのための経験の質を高めることが、子ども達にとって通ったことのない沢山の道を歩くことができるんです。
ちなみに、ラダートレーニングは、制限された枠の中に、決められた足の運びで、より素早く足を置く(着く)…という単純なものですが、これは、頭で考えている自分の理想と現実のギャップを修正する作業とも言えます。リズム感を養う要素もありますが、まずは目でみたものに対して、脳から指令を出し、自分の体をコントロールする…そんな運動の伝達確認と修正のための“基礎練”です。
あと…面白いのは、ラダーでその子の「性格」が見れます。笑笑
石橋を叩いて渡る子のラダーほど、観ていて楽しいものはないですね♪
頭で考え出すと、体が動かなくなる子は、普通にいますし、特別なことではないので…ご心配なく。
そういった自分の体の未知の領域に刺激を与えていくことが、後の礎になるのですから。