ペア
一気に秋めいて、肌寒さを感じる今日この頃です。
練習をする体育館のこもるような熱気も薄れ、逆に動きを止めると寒さを感じるようになり、コロナで辛い思いをした今年の夏が去っていきます…。
さて、今、練習で「ペア」を組んでおこなうメニューを、少しずつ増やしているのですが、この「ペア」というものが案外、その子の成長スピードを左右するということ…ご存知ですか?
誰と組むか。
子ども達は普段仲のいい子とペアを組みたがる傾向がありますが、やはり競技ということを考えると、身体的に近しい者と組みことが、より実戦に近い練習となります。
特に押し合いへし合いするようなメニューであれば、身長や体格の違いで影響が出やすい為、お互いにとってより良い練習をおこなう為には、近しい体格の者とのペアを組むことが理想なんです。
※体格の違う子と組むことも、時に必要ですが、押し合いする際の体の支点位置の違いがあるため、力の入れ方や体の使い方をマスターすべき時期には…より近しい体格がよいと考えます。
また、ペアを組んでくれる子がどういう“意識”で練習に取り組んでいるか…ここも大きなポイントとなります。
多くのチームは、指導者が複数人いる訳ではなく、一人ないし二人程度で、多くの子ども達を指導を一手に受けておこなうことが多くなります。
場合によっては一人で20~30人を見る…なんてことも。
…これも悪しき日本のスポーツ文化なんですよね。「ボランティア」が日本スポーツの進化を止めているのが実情です。
こういった背景の中、一人ひとりの子ども達に「目が行き届かない」ということは、当然のように起こります。
そんな状況も想定して、ペアで組んでいる子が「理想の鏡」となっているか、また間違った動きを指摘してくれているか…ここがチーム力を上げる大きなポイントとなります。
子どもは“目で見て育つ”と私は考えており…例えば、練習をふざけている子、間違ったプレーを続けている子がチームにいることは、おのずと周りの他の子らにも影響を与えているということなんです。
そういった“意識の低いプレー”に対して、早めに手を打つことは「その子のため」というよりも「周りの子のため」といった感じでしょうか。
昔、「腐ったみかん」って例えがありましたよね?金八先生だったかな???例えは悪いですが、意識の腐敗は拡散します。
※ちなみにアメリカでは「腐ったリンゴ」で例えられますよね。
そういった現象の始まりやきっかけを見つけることも指導者の役目ではありますが、目の行き届かないところに、目を行き届かせるには、指導者の目の代わりを持った同じような視点を持つ選手同士で“指摘し合える環境”を構築し、そして、限られた時間の中での練習の“質”や“効率”はアップしてきます。
私も元プレイヤー。バスケットが好きで選手を続け、ミニバスの指導者となった頃はまだ、社会人でプレーを続けていました。
当時、実際に自身がプレーしながら、子ども達を指導していた頃は、「やるのと…教えるのは…違うよな~」って葛藤していた日々を覚えています。
「人に教えることができる」ということは、相手に伝えるために、自分自身の頭でイメージすることを、体や言葉で伝える“術”を養わなくてはできません。
また、そのことによって、「技術の整理」ができ、結果、ブーメランのように自分のスキルアップにつながるということがあるのです。
ペアを組んだ相手が、どんな意識で練習に向き合っているのか…また、ペアを組んだ相手の間違いや自分との違いを観察し、指摘できるようになれば、おのずと自分も成長しているのだと…。
私は子ども達によく言うのは、自分のペアが間違った動きや選択をした際に、ペアを組んだ相手も「同じ」だと話します。
そのことに気づかない…また指摘できない…ということは「あなた(自分)もわかってない」ということを表現しているのだと…。
チームを造るとは…そういった環境を造るところから始まるように思うのです。
好き嫌いでペアを組むことと…高い意識の相手を探してペアを組むこと…この2本の分かれ道、子ども達がどちらを選んでいるか…そこがチームの“意識”のバロメーターとなるんです。
ちなみに…
みかんやリンゴは一度腐れば、もとの鮮度を取り戻ることはありません。ただ、子ども達は一度腐っても、再び鮮度を取り戻すことは“可能”なんです!