東京都のバスケットボール情報サイト | BackCourt(バックコート)

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『立身出世』 山本

2025/05/10 19:28
  

『立身出世』

 

私が高校生活で最も時間を費やしたのは

間違いなく“バスケットボール”だ。

 

高校入学時、私は選抜クラスに選ばれ、

部活動と勉強の両立ができるか

不安を抱えていた。

そんな中、友達の伝手で周りの同い年より

少し早めに練習に参加させてもらっていた。

それからは、ランニングロードの

走り込み時期が始まり辛い日々が続いた。

もうすでに心が折れそうになりそうだったが、

中学三年生の引退試合の二週間前に

骨折し出場できなかったという

悔しい経験が僕を奮い立たせてくれた。

 

2つ上の先輩が引退し、

「チーム白水」が始まった。

ポジションはガードとして練習していたが、

今までガードを経験したことがなく

試行錯誤していた。

しかし、上の層に食い込むことが出来ず

試合に絡むことができなかった。

それから、自分にしかない“武器”を

見つけるために、先輩たちと

ウェイトトレーニングに励み

フィジカルをつけたり、

下半身を強化しDF力を上げたりしていたが、

あっという間に先輩たちの

インターハイ予選が始まってしまい、

間に合わせることができなかった。

32掛けのvs日大豊山戦では

コートの外から応援することしかできず

終わってしまった。

悔しい思いを抱きながら

「チーム矢竹」が始まりを迎えた。

 

副キャプテンに選ばれ

光栄な気持ちもありつつ

不安な気持ちもあった。

自分たちの代は多くの失態を積み重ね、

先生から「前途多難」や

「前代未聞のチーム」と言われ、

最後まで走り切れるか自信がなかった。

それから自分のプレーがうまくいかず

後輩たちに足元を掬われ、

Bチームとしての日々が続いた。

周りが向上している中、

自分だけは後退している気がしていた。

幹部なのに周りに指示することなく

ただ指示を待っていたり、

試合に出てもチャンスを掴めず

何も残してこれないプレーヤーだった。

副キャプテンとして不甲斐ない姿を

見せるのは辛かった。

 

だから変わることを決意した。

周りに指示するなら

自分がそれに伴った行動や

プレーをしないという価値がないと思い、

私生活の見直しや技術面の向上に力を入れた。

選抜クラスとして恥じないように

定期試験でいい結果を残したり、

練習中は常に声を出し場を盛り上げたり、

ランメニューはしっかりラインタッチや

タイムインしたり行動で示していた。

そうしていくうちに、幹部としては以前より

信憑性のある指示が

出せるようになっていった。

一方で技術面で伸び悩み、

どんなに一生懸命やっていても

上のチームに上がることができなかった。

悔しかった。それと同時に諦めかけていた。

そんな時に支えてくれたのが

両親の存在だった。

毎日朝早くから健康にいい弁当を

作ってくれた母と

毎試合アドバイスをくれた父が

諦められない理由になっていた。

もう一度自分の試合映像を見て分析し 、

このチームで自分は何を求められ、

何で輝くことが出来るのかを考えた。

考えたことを実践していくうちに

少しずつ試合に出れるようになったが、

得点が取れないという課題も見つかり

すぐ修正しようと試みた。

 

そして迎えた関東予選では、

国士舘に関わってくれた人全員が

1つになって目標の東京都ベスト32を

達成することができた。

なにより32掛けの試合に出場して、

爪痕を残せたことが嬉しかった。

チームメイトも自分の活躍を称えてくれた。

今までの努力が報われた瞬間だった。

 

どうしようもなかったこのチームに

真摯に向き合ってくださった阪川先生や

たくさんアドバイスを

してくださった中田さん、

怪我している時に

ケアしてくださった中塚さん、

仲良くしてくれた先輩たち、

応援してくれた保護者の皆さん、

ずっとそばで支えていてくれた家族、

プロテインやスタッツを

作ってくれたマネージャー、

これらの方々には本当に感謝しかない。

今後は残された一分一秒を大事に

噛み締めて過ごそうと思う。

絶対に自惚れない。

たった1回の成功は奇跡だと

先生が言っていたように、

もう一度32の舞台へ行き、16を目指す。

そのために今できることはなんでもやりきる。

自分に関わってくれた

全ての人たちのためにも今、全力を尽くす。

3年生として、副キャプテンとして、

不甲斐ない結果を残さないために

毎日を死に物狂いで。

俺らならやれる。勝つ。

 

山本

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