ミニバスから見た女子バスケット銀メダル
東京2020オリンピック女子バスケットボールの銀メダルの快挙は、今までマイナーとまで言われていた女子バスケットに光を与えてくれました。私は長年女子のミニバスチームを指導していたので、まさか自分が生きている間にこのようなことが起きるとは思いませんでした。
日本女子チームの素晴らしさは私が語るまでもありません。日本チームの平均身長は出場国の下から2番目という低さでした。当然高さに対してどのように戦うかが問われてきます。ミニバスについても同様で、小学校の年代は大人以上に身長差があるものです、昔ミニバスチームを連れて中国のチームと戦った思い出があります。その時の中国のチームは170cmを超える女子が5人揃っており、バスケットになりませんでした。そのようなチームに勝とうと思う気持ちすら湧きませんでした。
ミニバスケットには3ポイントのルールがありません。3ポイントのシュート力をつけるという単純なことではありません。相手のマークを外してシュートチャンスを作るのはナショナルチームでは至難の業です。
次に誰もが認めるガードの活躍です。町田選手や本橋選手の相手の予想を超えた動きと視野の広さ、高さのある相手に果敢に挑戦する姿が注目を浴びました。
ミニバスケットボールでは将来の子どもたちの成長を考え、あまりポジションを決めずにオールラウンドプレイヤーを育てようとします。今回活躍した選手の多くはミニバス経験者で、その指導者も必ずそのことを考えて指導していたに違いありません。
しかし、決勝戦では全ての面でアメリカが勝っていたことは間違いはありません。私は特にディフェンスに注目しました。3ポイントシュートにも必ず長い手が出てきてチェックにきます。ガードからセンターへのアシストパスも、見事に読まれて止められる場面が多々ありました。
高校女子バスケットの強豪である桜花学園の井上先生がアメリカに渡り、ディナイディフェンスを日本に持ち帰ったと言われています。相手チームのやりたいことをさせないディフェンスにパワーが加わった、アメリカチームのディフェンスには圧倒させられました。
ミニバスケットボールの段階ではゾーンディフェンスが禁止されています。ミニバスケットボールの世界でもディフェンス力を付けるということはチームとして一番の課題であり、チームが確実に成長できる唯一の方法です。
次の夢は金メダルですが、その壁はとてつもなく高いものです。しかし、予想を超えた銀メダルを取ったのですから、その夢は今のミニバスケットの子どもたちに託しましょう。
(子どもたちがママコーチ、パパコーチと呼ぶ中、ジジコーチと呼ばれることを恐れている小島)